- 工事の概要
- ・山手通り地下の首都高速道路建設工事
- ・地下と地上をつなぐループ橋工事の一部
- ・国内最大級のシールドマシンを利用
- ・要望:「上り線掘削から下り線掘削に向けて、シールドマシンの方向を転換したい」
- ・ヒロセの仕事は、シールドマシンをUターンさせるための台づくり
- ・これによって、シールドマシン1台分のコスト削減を実現
東京は山手通りの地下では、首都高速道路の建設工事が続いていた。国内最大級のシールドマシンを用いる大規模な工事が着々と進む一方、工事の元請けのゼネコンからヒロセに「上り線から下り線の掘削へ移行するために、シールドマシンを方向転換したい」という要望が伝えられた。
通常、シールドマシンは1回の使用ごとにスクラップにする。しかしこれをUターンさせられれば、もう1台作成する時間と数百億円というコストを同時に削減することができる。そこで、この巨大なシールドマシンをUターンさせる受架台の設計と施工、という遠大な計画に取り組むこととなったのが、技術部に所属する北川育生であった。
「本当に不安でした。私の仕事は担当者との打ち合わせと、施工図面の作成。とはいえ、通常の100倍に相当する2500tという重量に、従来の設計や計算方法が通用するのかどうか、それすらもわかりませんでした」未知の規模という恐怖が、北川に重くのしかかった。「万が一にでもシールドマシンが落ちたら、何百人もの人が亡くなってしまう危険性もある」不安の種は尽きなかった。
クリアすべき課題は他にもあった。RORO支柱や400サイズの山留材の利用などは、コスト面の条件からゼネコンより指定されていた。地盤沈下や安全性にも配慮しなければならない。図面の急な変更に、徹夜で仕上げたこともあった。図面通りに施工ができないという連絡が入れば、すぐに現場に向かって改善案を考えた。約1年の工期中は、各方面とのやり取りが欠かせなかった。
「ゼネコンの担当者とは、常に一緒にいるような感じでした。綿密な打ち合わせを重ねて、情報がぶれないようにしないといけないので、もっぱら電話で話し合いました。社内の他部署に相談することもありました」
結果的に、工事は無事完了した。約1ヶ月の工期短縮も実現。成功した日の祝杯は格別だった。「不安の分だけ、達成感も大きい案件でした。やらなければいけないという使命感が、自分の成長にもつながったと思います」ひとつの挑戦を乗り越えた北川は、新たな自信をまとっていた。
