ヒロセのサイン事業はいま、より専門性の高い施設や、より大規模な施設に対するトータル提案へとその活動のフィールドをさらに拡げている。
そもそも、サイン事業はおよそ15年前、ヒロセの“次なる事業”を育てようと、福原や山田らが中心となって建設現場の派生工事である仮設のサインを手がけたことが始まりだった。
それから10年ほど経ち、本設物件としては初めてとなる依頼をある大手ゼネコンの関係会社から持ち掛けられた。洗足学園大学の新校舎建設に伴って設置する各種サインのデザインから製作・施工まですべてを依頼できないかというものだった。福原は当時の心境を「限られた工期と予算のなかで、自分たちに全うできるか非常に悩んだ」と振り返るが、以前から取引のあったデザイナーの協力が得られたこともあり、引き受けることを決めた。
「スチールとステンレススチールの長所と短所も知らなかった」。こう山田が言うとおり、まさに“ゼロからのスタート”だったが、この物件を通じてさまざまな技術とノウハウ、そして経験を得た。本設のサインは“匠の技を凝縮した意匠作品”とも言え、施主が想い描くイメージを実現していくため、何度となくデザインを起こし、モックアップを作っては施主の確認をとるという工程を要した。こうした過程を重ねることで、表現手法や、色彩、造形、素材に関する技術とノウハウを蓄積していったのだった。また、意匠面だけでなく、建物のライフサイクルに応じた耐久性の検討なども重要であることがわかった。
この物件での実績が大きな足がかりとなり、その後、景気後退などの影響を受けながらもサイン事業は着実に成長してきた。
- ■洗足学園大学
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2004年4月にオープンした「新江ノ島水族館」。この物件でヒロセは、展示サインだけでなく内装や設備を含め展示室内をどのように構成するかというデザイン提案から実際の製作・施工までを、専門デザイナーと連携することですべて請け負った。
この物件に営業段階から中心的に関わった山田は、「サイン事業は提案の幅を拡げ、より立体的で、よりインタラクティブな提案も可能になった」と言う。
ひとつの水槽をとってみても、それは海藻や砂利、岩石など個別さまざまなディスプレイを立体的に組み合わせることでできている。また、来館者は“見る”という行為だけでなく、手で触れたり、動かしたりすることで展示品から多様な知識や情報を得ることができる。
来館者に興味をもってもらえるよう、これらディスプレイや展示品をいかにわかりやすく、魅力的に表現するか。そこにはやはり専門的なノウハウが求められるからだ。
ほかにも、子どもたちも多数訪れる水族館という施設の特性から、子供がどんな扱いをしてもケガをさせないための安全性への配慮や、湿度の高い展示室内でも腐食しない耐久性の確保といった面でもノウハウを蓄積することができた。
山田らは今後、こうした経験とノウハウを活かし、他の水族館や博物館、美術館、さらには医療機関といった高い専門性が求められる施設への提案活動を進めていきたいと考えている。
- ■新江ノ島水族館
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2004年9月にさいたま新都心にオープンした大規模ショッピングセンター「COCOON(コクーン)新都心」では、施設内外120以上ものアイテムを3ヶ月という短期間で完成させた。
この物件を指揮したのは福原だった。福原は、プロジェクトのオーガナイザーとして常に顧客の前面に立ち、全体計画と工程管理を綿密に行う一方、実行作業はデザイン、構造、施工などの分野ごとに協力会社のスタッフで編成したチームに任せることで、大規模・短工期物件を成功へと導いた。信頼のおける協力会社との連携があってこそ、こうした物件への対応が可能になったわけだ。
- ■COCOON(コクーン)
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しかし福原は、ヒロセにとって大規模・短工期物件の成功させたことよりも「顧客にヒロセの営業マンの顔が常に見えていること」がより重要だと言う。なぜなら、顧客と直に接することで顧客の抱える課題やニーズを把握することができ、次の提案へ、そして新たなビジネスチャンスへとつなげていくことができるからだ。
こうした事例の一つに「ウッドデッキ」がある。「ウッドデッキ」は、ある顧客からサインの素材として木を扱うのなら、屋上やベランダにも施工できないかと相談されたことをきっかけに販売を始めた商品だが、環境ニーズの高まりを受け、近年売上を大きく伸ばしている。
- ■ウッドデッキ
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このように、サイン事業は実績の積み重ねによって技術とノウハウを蓄積し、それらを新たな物件へと展開・応用できる、可能性に満ちた事業と言える。
長年にわたって実績を積み、現在では年間140件以上もの物件を手がけるようになった。こうした“資産”を活かし、福原と山田は新たな分野の開拓、そしてさらなる事業の拡大をめざしている。











